脱窒ペレット誕生の背景

元々、硫黄(いおう)を利用した脱窒は研究されていました。
まずは硫黄単独での利用が検討されました。
当初は硫黄を液体(S2O32-にした研究がなされましたが、液体硫黄は高価であり、また微生物を付着するためには別の担体が必要でした。
同時に、硫黄を固体(Sx粉末)にした研究がなされましたが、疎水性が強く均等に注入するのが難しく、疎水性のため濡れ現象が悪く沈降速度が低い比重によって流入水や窒素ガスとともに浮上して流出するという問題が起こりました。
そのため硫黄を固体(Sx粒状)にした研究がなされましたが、硫黄粒子表面が滑らかで、疎水性があり微生物が付着しづらく、硫黄が溶出し難いことから連続して良好な脱窒処理を得るが困難でした。また荷重が大きくなると容易に壊れやすく、これによって目詰まり現象が誘発されました。

このようなことから脱窒処理で酸性に振れる廃液を自動的にpH調整するためにアルカリ性物質を添付する研究がされました。
アルカリ性物質を外部から添付するには、溶解させて注入する必要がありますが適正量の調節が困難でした。硫黄脱脂に必要な量は除去すべきNOX量の4倍程度が必要であり、また溶解装置やポンプも必要になりました。
さらに投入されるアルカリ度が低い場合には、脱窒ができず反応槽内部の硫黄が酸化されて生成する硫黄塩イオン量が増加し、pHが低下しました。結果pHが5.5以下になると硫黄脱窒反応が起こらない現象となりました。
そうしたことから、アルカリ性物質を内部に充填する研究が進められました。
1つはアルカリ性物質を層状に充填する方法です。粒状硫黄とアルカリ性物質(炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、また貝殻など)をそれぞれ層で充填しました。
もう1つはアルカリ性物質を混合充填する方法です。
これらいずれの場合でも、時間が経つにつれて、充填材が溶解し、充填剤の粒子が小さくなることで圧密現象が発生し目詰まりが起こり、また水頭損失が増加することでポンプに無理を与え逆洗浄の頻度が高くなりました。
一方、硫黄粒子表面が滑らかで疎水性であるため、微生物の付着や適応が難しく、十分な硫黄質微生物量を確保することが困難でした。
さらに硫黄とアルカリ性物質の溶解比が変わり、バランスが崩れると効果が低下しました。

このような背景から、硫黄とアルカリ性物質の混合体担体が誕生しました。

現在、弊社の提携工場(中国)で製造し日本に輸入しております。

 

脱窒システムの特徴

① 負荷変動に自動的に対応

従来、流入する廃液の変動する窒素濃度を計測し、放流する窒素濃度の目標値に対し、その削減すべき窒素濃度(⊿T-N)から投入する有機炭素源(メタノール等)の量を設計しますが、廃液の窒素濃度は原水の投入量によって変動するために、削減すべき最大となる窒素濃度(⊿T-N)からメタノールを決定しています。
しかしながら、ある程度、変動を考慮しているとはいえ、この処理フローでの窒素濃度は、最終的な放流基準に直接関係するために、人による監視が必要となっており、状況によってはメタノールをさらに投入しているのが現状です。
弊社の脱窒ペレットは流入する硝酸態窒素の負荷変動に対し調整不要で脱窒します。そのために、上記の管理コストも大きく削減できます。

② 低ランニングコスト

従来、脱窒のために有機炭素源(水素供与体)としてメタノールを必要としておりましたが、脱窒ペレットはメタノールを一切必要といたしません。脱窒ペレットに含まれている硫黄酸化脱窒菌がペレット表面にて硝酸塩呼吸を行い、その結果として窒素がガスとして放出されます。
また従来は余分となるメタノールが汚泥となり産廃コストが多かったところ、余分となるメタノールが発生しないため産廃コストを削減できます。

 

導入メリット 「3つのゼロ」

① メタノール使用量がゼロ

メタノールを一切使用しないため、ランニングコストが大幅に下がります。
※当脱窒システムにおいてはメタノールを一切使用しませんが、既存の処理フローにおいてメタノールを最低限添加する場合はその部分のメタノールコストはかかります。

② 煩わしい調整の手間がゼロ

メタノールの添加調整など煩わしい操作が不要です。また硝酸態窒素の負荷変動に対しても柔軟に対応します。

③ 代謝汚泥の産廃処分費用がゼロ

通常、脱窒処理には多量のメタノールを使用するので代謝汚泥による産業廃棄物が発生しています。しかし、今後その産廃処分費用は一切かかりません。
※当脱窒システムで使用しないメタノール分の産廃コストはなくなりますが、元々の廃液から排出される汚泥、また既存の処理フローにおいてメタノールを最低限添加する場合はその分の汚泥の産廃処分費用はかかります。

 

よくあるQ&A

SODPは何の略ですか?

SODPは次の通り、硫黄酸化脱窒法を表しています。
S >>> Sulfur 硫黄
O >>> Oxidation 酸化
D >>> Denitrification 脱窒
P >>> Process 方法

この脱窒システムはそもそもどこが開発したのですか?

この技術は30年前に日本において開発された技術です。
担体開発は、ある民間企業と大学が行い特許を取得され(現在は既に失効)、また別な民間会社で商品化が行われました。
その後、この技術が韓国に渡り、韓国では180以上の施設で導入されています。その後、中国でも同様に広がり、2022年より日本において、韓国や中国で実績をつくってきた同一の脱窒ペレットの販売提供を弊社より開始しました。

「脱窒システム」は何を指しますか?

弊社が脱窒システムと呼んでいるものは、次の3つから構成されます。
硫黄酸化細菌 ・・・脱窒処理を行う微生物
ペレット(担体) ・・・①の硫黄酸化細菌を担持させる媒体
リアクター(反応槽) ・・・①を担持した②のペレットを入れておく水槽

当ページの中で「脱窒ペレット」と呼んでいるのは、①の硫黄酸化細菌を担持している②のペレットのことになります。

脱窒処理で必要なものは何ですか?

リアクターと呼ばれる水槽、リアクターに流入するまでの流入ポンプ、リアクターの排水を循環させるための循環ポンプ流量計、自動制御のための制御ボックス、また脱窒するために脱窒ペレットと硫黄酸化細菌が必要となります。

弊社からは、脱窒ペレット、硫黄酸化細菌をご提供いたします。

脱窒ペレット
脱窒ペレット

どんな手順でウチの脱窒を具体的にご相談できますか?

まず当サイトの下部にある問合せ・見積依頼フォームからご連絡下さい。
およその納品までのフローは次の通りとなります。(お客様は青色弊社対応は赤色

  1. 問合せ・見積依頼フォームからのご連絡
  2. 弊社からお返事(2営業日以内)
  3. オンライン会議(困りごとを直接お聞きします)
  4. サンプル排水を発送(ポリタンクを2つ、約40Lに排水を入れて弊社までお送り下さい)
  5. 排水分析、基本設計、脱窒試験(現地調査が必要な場合もあります)
  6. 試験レポートと見積書を提出
  7. ご発注
  8. 施工、殖菌(殖菌には約1ヶ月かかります)
  9. 運転開始

排水の条件はありますか?

弊社脱窒システムは、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の脱窒が可能ですが、アンモニア性窒素の脱窒はできません。
従って脱窒システムに流入する前の排水に、アンモニア性窒素を完全に硝化していただけるようお願いします。

またSSは30mg/L以下、PHは弱アルカリが望ましく、DOは2mg/L以下、塩分濃度は1%以下でお願いします。
農薬や重金属等の微生物に害を及ぼすものがあればお避け下さい。

この脱窒システムの懸念点は何ですか?

流入原水の硝酸態窒素濃度に対して応分産生される硫酸イオンや、その硫酸イオンと結合して析出形成された硫酸カルシウム等が微量のSSとなって放出されることが懸念されます。

また微生物の働きに依存しているので、排水の水温は10℃以上、できれば15℃になっていることが望ましいです。

脱窒ペレットがトータル窒素を削減する仕組みを教えてくれますか?

窒素を含んだ排水には、有機窒素と無機窒素があります。

有機窒素は「O-N」で表され、それは曝気槽で曝気することによって微生物の働きで、アンモニア性窒素「NH4-N」となります。

さらに曝気していくことによって酸化されて、亜硝酸性窒素「NO2-N」となります。さらに酸化すると、硝酸性窒素「NO3-N」となります。

弊社脱窒システムでは、独立栄養性細菌である硫黄酸化脱窒菌を硫黄をベースにしたペレットに担持していますが、上記の硫黄酸化脱窒菌がペレット表面にて硝酸塩呼吸を行い、その結果として窒素がガス「N2」として放出され、脱窒できるという仕組みとなります。

NO3- + 1.10S + 0.40CO2 + 0.76H2O + 0.08NH4+ → 0.50N2 + 1.10SO42- + 1.28H+ + 0.08C5H7O2N

脱窒システム

ランニングコストはどのくらいかかりますか?

弊社脱窒システムは化学薬品を一切使用せず、硫黄酸化脱窒細菌という微生物を使用しているため、ランニングコストはほとんどかかりません。

具体的には、リアクターと呼ばれるタンクへ従来の排水設備から流入させるための流入ポンプと、リアクター内の排水を循環させるための循環ポンプのポンプ電気代がランニングコストとなります。

また3年に1度、減少した脱窒ペレットの補充分(当初のペレットの量に対して3%から5%)が必要になる程度です。

他に脱窒ペレットをつくっているところはないんですか?

脱窒ペレットは国内の大手メーカーさんが開発されて特許を取得されましたが、関連特許はすべて失効しております。

その後、大手メーカーが製造されていますが、他に日本国内で製造しているところはありません。

養豚場を経営していますが脱窒システムを導入するにはどうしたらいいですか?

すでに曝気槽でアンモニア性窒素濃度を低くされている場合には、弊社の脱窒システムでその後の硝酸性窒素を除去することは可能です。もしアンモニア性窒素の濃度が高い場合には、流入させる前に、十分にアンモニア性窒素の濃度を下げてやる必要があります。

アンモニア性窒素の濃度を下げる方法は次の3通りです。

  1. 曝気槽を増やす
  2. 微生物固定化PVA担体を曝気槽に入れる
  3. 膜分離システムを入れる(MBR)

現実的には曝気槽を増やすことは難しいと思われるために、2のPVAか、3の膜分離が必要になると思います。いずれも弊社では効果のあるPVAと膜もご提案可能となっておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

無機系排水が1日1,000トンを超えています。これでも大丈夫ですか?

削減すべきトータル窒素濃度によって必要な脱窒ペレット量や水槽の大きさ、数量が決まりますが、理論的にはどのくらいの排水量でも対応可能です。
弊社の中国の協力会社では 水量が1日50,000トンまでの実績があります。

河川放流していますが、その先は閉鎖性海域で規制が厳しいです。これ使えますか?

日本全国にはかなり沢山の閉鎖性海域と呼ばれるところが存在しております。通常の河川放流よりも排水規制が厳しくなっております。

弊社の脱窒システムは従来のような大型設備は不要ですので、ご利用いただきやすいと思われます。

当社は上場企業で自主規制が厳しいです。浄化槽にも使えますか?

浄化槽の最後に放流する直前の沈殿槽から当社の脱窒システムに流入させ、脱窒システムから放流することによって、自主規制値に収まることが可能です。
また小型の脱窒システムは、弊社ではチッソボカンというパッケージ製品を販売しております。

脱窒ペレットの比重はどのくらいですか?

脱窒ペレットのかさ比重はおよそ1.0であり、水とほぼ同じくらいです。

導入するのに補助金ありますか?

現在、脱窒そのものについての補助金はないと思われますが、現在、多量のメタノールを使用されている場合に、その代謝汚泥を産廃として出されているなら、産廃を減らすための補助金は存在すると思われます。
詳しくは、弊社にお問合せ下さい。

窒素濃度の上限はありますか?

推奨している流入窒素濃度は 500~600mg/L を上限としております。
それ以上の濃度は脱窒ペレットの量と滞留時間の設定で実現可能と考えられますが、硫化物イオンが増えてしまうので、高濃度の場合には前処理として流入する窒素濃度を抑えていただきますようお願いいたします。

イニシャルコスト、ランニングコストはどのくらい?

まず処理水量(㎥/日)、流入するトータル窒素濃度、目標トータル窒素濃度、また処理水の水質データをいただき、脱窒ペレットの必要量や滞留時間を計算してからご提示が可能です。

またランニングコストはポンプの電気代と3年に1度補充する脱窒ペレット代となります。
電気代は、上記の計算によって、必要となるポンプの規格を求めてから計算できます。補充分の脱窒ペレットは、最初にセットした脱窒ペレットの5%程度、最大10%を3年に一度投入する分となります。

 

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部署、工場名、農場名がございましたら、ご記入下さい。
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